結論(先に要点)
迷ったらオルカン(全世界株式):米国を中心に全世界8000社に投資。
国・通貨・セクターを一気に分散。一本で“世界の平均”に乗る設計。
米国一本でいく覚悟があるならS&P500:米国のTOP500社に投資。
成長は米国からと信じる人向け。
ここ10年の米国優位期は強かったが、将来も同様とは限らない。
手数料はどちらも年0.0X〜0.1%台の低コストが主流。最新の信託報酬・実質コストは目論見書/運用報告書で要確認。
NISAは非課税×長期×積立と相性◎。頻繁な乗り換え(スイッチング)は成績を崩しやすいので原則やらない。
1. 2つのファンドの違いを1分で
投資対象
- オルカン:先進国+新興国を含む全世界株式(日本を含む/含まないは商品による)。
- S&P500:米国の大型株500社。
値動きの特徴
- オルカン:世界に分散 → 一本でもリスクがややマイルド。国別の当たり外れを平均化。
- S&P500:米国に集中 → 当たりの時は強いが、外すとブレが大きい。
為替の影響
- どちらも円建てで買えば為替の影響は受ける(円安は追い風、円高は逆風)。
- オルカンは通貨も分散、S&P500は米ドル寄りに。
2. 手数料の見方(最新値のチェック方法)
インデックス投信は“安い=正義”になりがちですが、見るべきは3点です。
- 信託報酬(年率)
- 毎日少しずつ差し引かれる運用管理費用。低いほど有利。
- 実質コスト
- 運用報告書に記載。売買・為替・保管などの諸費用を含めた実際の負担。
- 直近決算期で確認(年1回更新)。
- トラッキング差
- ベンチマーク(指数)とどれだけズレずに連動しているか。月報のグラフでチェック。
最新値の確認手順
ファンド名で検索 → 目論見書(信託報酬)/運用報告書(実質コスト・トラッキング)を開く。販売会社サイトより運用会社の公式が正確。
目安(傾向):低コスト連動型は概ね年0.05〜0.20%台。同じ指数でも運用会社で差があります。
3. 成績の比較は“期間次第”
- 過去10年:米国の独走期 → S&P500優位の期間が多い。
- 別の10年:米国外や新興国が伸びる局面 → オルカン優位になることもある。
- 円換算:円安の時期はどちらも追い風、円高は向かい風。
教訓:期間をずらすと勝者が入れ替わる。「最近強い」を追うとスイッチングで負けやすい。
4. どっちが自分向き?
- オルカンが向く人
- 1本で完結したい/国の当たり外れを考えたくない
- 将来の勢力図が読めない前提で世界平均に賭けたい
- S&P500が向く人
- 企業の質・市場規模・ガバナンスなど米国集中に納得している
- ブレを受け入れられる(下落時も継続できる)
迷ったら:オルカン中心+S&P500を少量スパイスのハイブリッドもアリ。配分は“眠れる割合”で。
5. NISAで実行するときの設計
- 積立額を固定(例:毎月3〜5万円)
- 商品は原則1〜2本に絞る(分散は指数の中で効く)
- 年1回だけ点検(リバランス/積立増額の検討)
- 暴落時の行動を先に決める(買い増し条件・現金比率)
- やらないことリスト:短期の成績で乗り換えない/ニュースで配分を変えない
6. よくある質問(FAQ)
Q. 分配金が多いファンドはお得?
A. NISAでも分配金は再投資型が基本。高い分配金は元本取り崩しの可能性もあり、税効率も落ちやすい。
Q. 為替ヘッジは付けるべき?
A. 長期の株式はヘッジなしが一般的。ヘッジコストがかかるため。揺れが苦手な人は“あり”を検討。
Q. 途中で乗り換えるべき?
A. 原則不要。非課税枠の再利用はできないため、むやみに売り買いすると“機会損失”が増える。
比較表
項目 | オルカン(全世界株式) | S&P500(米国株式) |
---|---|---|
代表的なベンチマーク | MSCI ACWI 等 | S&P 500 |
信託報酬(年率) | 0.058%程度 | 0.076%程度 |
実質コスト(直近決算期) | 0.08%程度 | 0.10%程度 |
為替影響 | 通貨分散 | 米ドル寄り |
向いている人 | 一本で世界に分散したい | 米国集中に納得&ブレ許容 |
8. 関連リンク(内部リンク)
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- 第1章:持株会で投資家デビュー
- 第2章:企業型DCと海外株の学び
- 老後資金シミュレーター(積立額の目安づくりに)