初心者向け徹底解説
1. 企業型確定拠出年金とは
企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)は、企業が従業員の老後資金形成をサポートするために導入する年金制度です。
会社が毎月掛金を拠出し、従業員自身が運用先を選び、その成果によって将来受け取る年金額が変わります。
アメリカの「401k」に近い制度で、日本では2001年にスタートしました。
2. 企業型DCの仕組み
- 掛金拠出
会社が毎月一定額を積み立てます(給与とは別枠)。
一部の企業では「マッチング拠出」といって、従業員も上乗せ可能な場合があります。 - 運用商品を選ぶ
投資信託、定期預金、保険商品などから従業員自身が配分を決定。
元本確保型(安全性重視)か、リスク資産型(成長性重視)かを選べます。 - 運用成果によって将来の受取額が変動
運用がうまくいけば将来受け取れる年金額が増えますが、損失が出る可能性もあります。
3. メリット
- 税制優遇が大きい
- 掛金は全額非課税(給与課税対象外)
- 運用益も非課税(通常の投資は20.315%課税)
- 受取時も一定額まで税優遇(退職所得控除・公的年金等控除)
- 給与天引きなので強制的に資産形成できる
- 投資初心者でも自然に積立可能
- 企業が手数料を負担する場合が多い
- 個人でiDeCoを始めるより低コストになりやすい
4. デメリット・注意点
- 60歳まで原則引き出せない
- 急な出費に使えないため、生活資金とは別に考える必要あり
- 自己責任運用
- 元本割れリスクがある
- 運用放置は将来の資産減少につながる
- 転職時の手続きが必要
- 転職先に企業型DCがある場合は移管
- ない場合はiDeCoへの移換などが必要(放置すると強制解約で税負担)
5. 他制度との比較(iDeCoとの違い)
項目 | 企業型DC | iDeCo |
---|---|---|
掛金負担 | 企業(+従業員任意) | 自分 |
掛金上限 | 制度内容により月5.5万円まで | 月2.3万円(会社員) |
手数料 | 会社負担が多い | 自己負担 |
転職時の対応 | 移管手続き必須 | 継続可能 |
6. 企業型DCを有効に使うポイント
- 放置しないで配分を見直す
市場環境や年齢に応じて資産配分を調整 - 長期・分散投資を基本に
短期の値動きに一喜一憂せず積立継続 - 転職・退職時は必ず移管手続きを
移管忘れは税負担や資産減少の原因に
7. まとめ
企業型確定拠出年金は、税制メリットが大きく、企業が資産形成を後押ししてくれる制度です。
ただし、将来受け取る金額は自分の運用次第。
「放置せず、長期目線で運用」することが、老後資金を効率的に増やす鍵です。